ダニエルスターの悲劇

ウチにはキティーちゃんとその彼氏のダニエルくんのぬいぐるみのペアがあります。

ただのぬいぐるみではありません。スイッチを入れると、二人で歌って踊り始めるんです。しかもこれがなかなかアナドレません。二人(?)のタイミングが見事にシンクロするんです。

特に何かのケーブルでつながってるわけでもないのに、キティーちゃんが歌えばダニエルが踊り、ダニエルが歌えばキティーちゃんが踊ります。そして最後には二人の見事なデュエット♪がエンディングを飾ります。
ホンマに綺麗にハモります。全く以て「お見事!」と言うほかありません。

実はコレ通信機能です。最近のオモチャおそるべしです。
まあ今ならさしずめブルートゥース・・・と言いたい所ですが、サンリオもいくらなんでもぬいぐるみにそんな無茶なことはしないようで、命令を出す素子とそれをキャッチするセンサーの組み合わせでした(右図)。
ところでこの画像。よく見るとあることに気が付きませんか?
これは家内が初めに気が付いた事ですが、ダニエルはキティーちゃんの・・・






尻に敷かれてますから! 残念!

そう・・・二人の見事なまでのパフォーマンスは、全てキティーちゃんが指示を出していたのです!
そして、そのことが判明してからは、少し遅れがちなダニエルにキティーちゃんが肘でツンツンしながらチクチクと指示を出しているように見えてくるから不思議です。

「ほら、あなたの番よ! 早く歌いなさい!」

一見すると少し勝ち気で姉御肌のキティーちゃんと、その尻に敷かれる気の弱いダニエルの、仲の良い二人のほほえましい光景に映るかも知れません。
 でもちょっと間って下さい。キティーちゃんの愛くるしい外見に惑わされてはいけません。考えてみたら、これはイワユル主従関係ではありませんか? いや、愛の奴隷と言ってもカゴンではないでしょう。しかも契約とか調教ドレサージュなどと言う精神的なレベルの問題ではありません。なぜなら、生まれた時から二人の臀部に埋め込まれているチップが、肉体的に二人の上下関係を、運命を、絶対的な力で冷徹なまでに決定づけてしまっているのですから。

ダニエルがどれほど精神的に抗おうと、生まれ持った肉体的な構造に起因するその数奇な運命からは逃れようがありません。彼の体は彼の意思とは無関係に、勝手に・・・死ぬまでキティーちゃんのいいなりになってしまうのです。涙無くしては語れません。なんと悲壮感漂う話でありましょうか。
それが苦痛であるのか、はたまた喜びであるのか・・・それは、ダニエル本人にしか分からないでしょう。彼のときどき見せる悲しそうな表情が何を物語っているのかを考えるのは邪推というモノです。

蛇足ですが、去年のことです。彼がある日突然キティーちゃんの言うことをきかなくなりました。
キティーちゃんがいくら歌っても踊らないのです。踊っても歌わないのです。
遂に反乱か? ダニエル! オマエってやつは、ついにその運命を自らの手で切り開いたのか?!

しかし原因はただ電池が切れていただけでした。
このことは彼の悲壮感をより一層色濃く印象づける結果となりました。そう、彼は電池が切れて一歩も動けなくなるまでキティーちゃんの命令通りに、歌い、そして踊り続けるマリオネットなのです。買ってすぐに同時に電池を入れたにもかかわらず、ダニエルの方がかなり早くなくなってしまったと言うことは、彼の方がより多くのエネルギーを消耗していたと言うことに他なりません。
一方的に命令を聞くだけで、自分の意見など聞き入れてもらえないと言うストレスが、語り尽くせぬほど鬱積した抑圧のルサンチマンを内包させ、そしていったいどれほどの精神的エネルギーを消耗するのでしょうか。もはや一ぬいぐるみが受け入れられるようなレベルの運命ではありません。

しかも、踊り続け、歌い続け、疲れ果てて倒れ、抜け殻の如く動けなくなってしまったダニエルの横で、キティーちゃんは命令を出し続けます。

「ほら、踊りなさい! 歌いなさい!オホホホホホッ」

ときどきその手が痙攣したかのようにピクピクと動いてはすぐに止まります。そして最後の力を振り絞って懸命に歌おうとします。しかし、もはやそれは歌と呼べる代物ではありません。音程は大きくハズれ、テンポは遅れて途中で止まります。もはや意識さえ無く、ただ命令に従わなければと言う、彼の四肢の隅々にまで染み渡った反射運動でしかないのかもしれません。
思わず目を背けたくなる光景です。こんなになってもまだ彼の体はキティーちゃんの命令に従おうとしてしまうのです。あまりの惨さに思わず目を背けたくなります。こどもにだけは見せたくないと思う親御さんも多いでしょう。

『ダニエル!もういいんだ!お前はよく頑張ったよ・・・精一杯。
だからもうやめてくれ!頼むからもう休んでくれ!』

こんな魂の叫びも彼には届かず、殺風景な景色の中に虚しく消えて行くだけです。

 一方のキティーちゃんはダニエルが例え死のうがどうなろうが全く聞く耳を持ちません。彼が歌い終わるのを待ちもせずに容赦なく次のフレーズに移ります。かつてはあれほど心地よく心に響いた二人のデュエットが、今はもう呪詛の朗誦にしか聞こえません。

「さあ動け!このポンコツめっ! 動きなさいったら!
ァ '`,、'`,、'`,、'`,、'`,、'`,、'`,、'`,、'`,、'`,、'`,、'`,、ッ」

しかし彼女を責めることなど誰にもできません。なぜなら、彼女の臀部に埋め込まれたチップはダニエルからの声が届かない仕組みだからです。
一方的に命令を出し続けるのが彼女に科せられた運命なのです。
それはそれで悲しい彼女の性・・・彼女も又、人間達の勝手な都合により、逃れられぬ運命に翻弄される一人なのかも知れません。

「知っててどやねん」のトップへ戻る ホームへ戻る

ハローキティのハートフルキッズ
(キャラクターショー)